1. レベル4に到達した人が、なぜ「虚しい」と感じるのか
※本記事はプロモーションを含みます。
- 「私は早期退職しました。世界中を旅しています。」
- 「パーティーに行って、初対面の人たちと楽しい時間を過ごしています。」
- 「それでも、場所から場所へ移動しながら、ただ死を待っているような気分です。」
これは、ニック・マジューリが読者から受け取ったメッセージの一つです。
ニックは、リトホルツ・ウェルス・マネジメントのCOOであり、ベストセラー『Just Keep Buying』の著者です。新著『The Wealth Ladder(富の階段)』では、純資産に基づく6段階の資産形成フレームワークを提唱しています。
彼はBankless Podcastのインタビューで、このメッセージを紹介した後、こう続けました。
「何から退職するかを知る前に、何に退職するかを知っておかなければならない。」
私はこの言葉を聞いたとき、資産形成における最も重要な問いが、「いくら貯めるか」ではなく「何のために貯めるか」であることを改めて実感しました。
今回は、ニックがBankless Podcastで語った内容から、資産形成の「数字の先」にあるものについてお伝えします。
具体的には:
- なぜ「収入」ではなく「富」に基づいて支出を決めるべきなのか
- レベル4で立ち止まることが、なぜ合理的な選択なのか
- お金以外の「4つの富」をどう設計するか
私自身の経験も交えながら、順番にお伝えしていきます。
2. 収入は気まぐれである — 支出の基準を「富」に置く理由
資産形成において、多くの人が支出の基準を「月収」に置いています。
- 「月収が30万円だから、生活費は20万円に抑えよう。」
- 「昇給したから、少し良い部屋に引っ越してもいいだろう。」
ニックは、この考え方そのものに根本的な問題があると指摘しています。
「収入は気まぐれです。人々は昇給し、そして解雇されてゼロになる。収入に基づいて支出を決める人は、長期的には良い状況にはなりません。」
彼が挙げた例は明快です。年収5000万円のプロアスリートを想像してみてください。税引き後の手取りが約2500万円。そのうち2000万円を使い、500万円を貯金しています。一見、問題なさそうに見えます。
ですが、2年目にケガをしたらどうなるでしょうか。
貯金は1000万円。ですが、支出は年間2000万円のペースで走っています。半年分の生活費しかありません。収入がゼロになった瞬間、生活は崩壊します。
日本においても、この構造は同じです。
終身雇用の時代が終わり、転職が当たり前になった今、来月の収入が今月と同じである保証はどこにもありません。特にフリーランスや副業収入のある方であれば、月ごとの収入のブレは日常茶飯事のはずです。
だからこそニックは、支出の基準を「収入」ではなく「純資産」に置くべきだと主張しています。
彼が提唱する0.01%ルールは非常にシンプルです。純資産を10,000で割った金額が、1日あたりの「追加支出の上限」になります。
- 純資産500万円なら、1日500円
- 純資産1000万円なら、1日1,000円
- 純資産5000万円なら、1日5,000円
このルールの前提は、純資産が年率3.7%(日本の国債利回りよりやや高い程度の、極めて保守的な想定)で成長すると仮定し、その成長分だけを「使ってもよい余裕」として定義しているところにあります。
ここで重要なのは、このルールが「節約しろ」と言っているのではないということです。むしろ、ライフスタイルの向上を「許可する」仕組みです。
ニック自身、こう説明しています。
「個人の資産形成で誰も解決できていない問題がある。人々はライフスタイルの向上を望んでいるが、行き過ぎたくはない。このルールは、そのバランスを取るためのものです。」
「富を築いたから、その分だけ自由に使える」。この順番が重要です。昇給したから使うのではなく、資産が増えたから使う。日本の「身の丈に合った暮らし」という感覚に、とても近い考え方だと感じます。
3. レベル4の「無人地帯」– なぜ、貯金が無意味になる瞬間が来るのか
ニックのフレームワークで最も意外な指摘は、レベル4(純資産100万ドル~1,000万ドル、日本円で約1.5億~15億円)に到達した人へのアドバイスです。
それは、「貯金の効果がほぼ消える」という現実です。
計算してみてください。純資産が1億円の人が、年間1,000万円を貯金しても、資産全体の10%の上乗せに過ぎません。純資産が5億円になれば、年間1,000万円の貯金は全体のわずか2%です。
一方、5億円の資産が年率5%で運用されれば、何もしなくても年間2,500万円が増えます。自分の労働による貯金よりも、資産の運用収益の方がはるかに大きくなるのです。
ニックはこの状態を「無人地帯」と呼んでいます。
「レベル4にいる人の多くは、もっとお金を稼ぎ、もっと貯めようと必死に努力しています。そして彼らはいつか『なぜ私はこんなことをしているのか?もはや意味がない』と気づくのです。」
実際のデータもこれを裏付けています。20年間の追跡調査で、レベル4から抜け出せないレベルとして最も「硬い」のが、このレベル4です。ほとんどの世帯が、20年経ってもレベル4に留まっています。
なぜか。
レベル5(純資産1,000万ドル以上)に到達するには、貯金と投資だけでは28年以上かかります(年間10万ドルの貯蓄、年率5%のリターンの場合)。実質的に、レベル5に到達する唯一の方法は、ビジネスを始めて売却するか、事業をスケールさせることです。
ここで、ニックは重要な問いを投げかけます。
「あなたは本当にレベル5に行きたいのですか?」
4. Coast FIRE — 「もう十分」と言える勇気
ニックがレベル4にいる人に提案するのは、「Coast FIRE」という選択肢です。
Coast FIREとは、退職後の資産は既に十分に築かれており、あとは現在の生活費さえカバーできれば、それ以上の貯蓄は不要という状態を指します。
例えば、45歳で純資産が1.5億円ある人を想像してください。年率5%で運用し続ければ、65歳の時点で約4億円になります。追加の貯金は一切不要です。この人がやるべきことは、今の生活費を賄える程度の仕事を続けるだけです。
これは、「アクセルを全開にし続ける必要はない」ということを意味しています。
ニックの言葉を借りれば:
「ほとんどの人が、合理的に考えるなら、こう言うべきです。『なぜこれを続けているのか。もはや意味がない』と。」
日本では、FIREという概念は「早期退職」として語られることが多いですが、Coast FIREの本質は「退職」ではなく「減速」です。仕事を辞めるのではなく、仕事の強度を下げる。稼ぐ量を減らして、生きる質を上げる。
私自身、この概念を知ったとき、「資産形成のゴールは、必ずしも数字の最大化ではない」という当たり前のことを、改めて数字で確認できた感覚がありました。
5. 「5つの富」– お金は、そのうちの一つに過ぎない
ニックはこのインタビューで、サヒル・ブルームの著書『The Five Types of Wealth(5つの富のタイプ)』に繰り返し言及しています。
サヒルが提唱する5つの富とは:
- 財務的な富(Financial Wealth)
- 社会的な富(Social Wealth) — 人間関係
- 時間的な富(Time Wealth)
- 身体的な富(Physical Wealth) — 健康
- 精神的な富(Mental/Spiritual Wealth)
ニックとサヒルは、お互いの本に「章を交換する」形でコラボレーションしています。ニックの『富の階段』にはサヒルのフレームワークが含まれ、サヒルの本にはニックの分析が含まれています。
ニックが強調するのは、財務的な富を追い求めるあまり、他の4つの富を犠牲にする人が少なくないという現実です。
「自分自身を理解することは、どんなフレームワークよりもはるかに重要です。本当に自分が何を望んでいるのかを知っていれば、そこから逆算できる。」
レベル5以上では、増幅されるのは「お金以外の問題」です。
ニックは具体的に挙げています。独身でレベル5に到達した場合、「この人は自分自身を好きなのか、それとも自分のお金を好きなのか」が永遠にわからなくなります。家でパーティーを開けば、ゲストがわざと転んで訴訟を起こすリスクすらあります。
お金が増えれば増えるほど、人間関係の純粋さが失われていく。これは皮肉ですが、データと実体験が示す事実です。
日本においても、この構造は無縁ではありません。
資産が増えるにつれて、「この人は自分のお金目当てではないか」「この仕事の依頼は、自分のスキルへの評価なのか、自分の資産への期待なのか」という疑念が生まれることがあります。
だからこそ、財務的な富を築きながら、同時に他の4つの富を意識的に設計していく必要があるのです。
6. 「ここに連れてきたものが、次にも連れていくとは限らない」
ニックは、Banklessの暗号通貨投資家たちに向けて、一つの警告を発しています。
それは、「集中投資で急速にレベルを駆け上がった人ほど、危険な状態にある」ということです。
彼の友人の実例があります。ある男性が、あるNFTを1個50ドルで7つ購入しました。合計350ドルの投資です。ピーク時にはポートフォリオ全体が120万ドルに達しました。しかしながら、売却のタイミングを逃し、最終的に手元に残ったのは約9万ドルでした。
それでも投資額の250倍以上のリターンです。客観的に見れば大成功です。ですが、120万ドルを「一度見た人」にとって、9万ドルは「失った110万ドル」として記憶されます。
ニックはこう指摘します。
「このタイプのリターンを得る人は、そもそもリスクを愛する人です。リスクを愛する人が、突然リスク回避的になることを学べるか?一般的には、それは起こりません。」
日本の投資環境に置き換えると、暗号通貨に限らず、個別株やFXの短期売買で急速に資産を増やした人に、同じ構造が当てはまります。
ニック自身は、暗号通貨をポートフォリオの約2%に保っています。ビットコインが52,000ドルの時に半分を売却し、「馬鹿だ」と批判されました。現在のビットコインは12万ドルを超えており、計算上は約6万ドルの機会損失です。
ですが、ニックはこう言います。
「レベル4の人にとって、6万ドルは人生を変える金額ではありません。もし今、私に6万ドルの小切手を渡されても、私は生活の中で一つも変えるものはありません。」
この一言が、富の階段の本質を物語っています。
お金の価値は、あなたの純資産レベルに応じて変わります。6万ドルはレベル2の人にとっては人生を変える金額ですが、レベル4の人にとっては「ありがたいが、何も変わらない」金額です。
だからこそ、レベルが上がるほど、お金以外の富の重要性が増していくのです。
7. 「競争は確かに厳しくなっている。それでも、道はある。」
ニックは、資産形成の難易度が過去に比べて上がっていることを率直に認めています。
1950年代のアメリカでは、白人男性は主に他の白人男性とだけ競争していました。その後、女性が労働市場に参入し、さらにグローバリゼーションによって、世界中の人々と競争する時代になりました。
これは日本も同じです。かつての「終身雇用・年功序列」の時代と、現在のグローバル競争環境では、富を築くための前提条件が根本的に異なっています。
しかしながら、ニックは楽観的です。
「ほとんどの人は、努力すればレベル3には到達できると信じています。そして、早めに始めれば、レベル4に到達できる人もいます。」
彼が強調するのは、「出発点」の重要性です。スキルがあるか。教育を受けているか。どの年齢から始めたか。家族の負担はどれだけあるか。これらの条件によって、到達可能なレベルは変わります。
ですが、レベル3(純資産10万ドル~100万ドル、日本円で約1,500万~1.5億円)であれば、多くの人にとって現実的な目標です。
そして、レベル3に到達した時点で、「十分な人生」を手に入れることは十分に可能です。
サヒルの言葉を借りれば、「十分な人生」とは、自分のお金が自分を支配するのではなく、自分がお金を道具として使っている状態のことです。
8. あなたは「何に」退職しますか?
ニックが最後に語ったのは、彼自身の「富の先にあるもの」でした。
「私にとって最も大切なのは、時間の自由です。フルタイムの仕事をしながら、週末にブログを書き、本を執筆しています。望むほどの時間の自由はまだありません。」
35歳。結婚したばかり。これから子供が生まれるかもしれない。その時に何かを調整しなければならないことを、彼はすでに見越しています。
「ブログの頻度を下げるのか。仕事の役割を変えるのか。わからないが、家族のための時間を作る必要が来ることは知っている。」
この言葉に、私は深く共感しました。
資産形成は、数字を増やすゲームではありません。あなたが本当に大切にしているものに、時間とエネルギーを注ぐための「手段」です。
ニックの問いを、最後にあなたにもお伝えします。
「この階段は、どこへの階段ですか?」
登ること自体が目的になっていないか。登った先に、あなたが本当に望んでいるものがあるのか。
その答えは、誰かが教えてくれるものではありません。あなた自身の中にしかありません。
理想的な40代はどんな姿か。50代はどうか。そこから逆算して、今日の一歩を決める。
ニックの言葉で言えば、「常に逆算して解決する。最終的な目標を決めて、そこから逆向きに考える」です。
私も、自分にとっての「十分な人生」がどこにあるのかを、まだ模索している最中です。一緒に、考え続けていきましょう。
それでは。
P.S. ニックは、ビットコインを半分売却した時のことを振り返って、こう言っています。「私はリバランスをした。自分のルールに従った。それだけだ。」ルールを決めて、それに従う。感情ではなく、仕組みで動く。資産形成に限らず、私たちの人生のあらゆる場面で、この原則は力を持つように思います。
ニック・マジューリ(Nick Maggiulli)
リトホルツ・ウェルス・マネジメントCOO。データと個人の資産形成の交差点をテーマにしたブログ「Dollars and Data」を2017年から毎週更新。著書『Just Keep Buying』は世界的ベストセラーとなり、新著『The Wealth Ladder』で純資産レベルに応じた段階別の資産形成戦略を体系化。35歳。
ライアン・ショーン・アダムス(Ryan Sean Adams)
Bankless Podcastのホスト。暗号通貨とWeb3の文脈で、個人の経済的自由について発信している。本エピソードでは、富の階段フレームワークを暗号通貨投資家の視点から掘り下げた。
サヒル・ブルーム(Sahil Bloom)
投資家、起業家、作家。著書『The Five Types of Wealth』で、財務・社会・時間・身体・精神の5つの富のフレームワークを提唱。ニックと相互に書籍の章を提供し合うコラボレーションを行った。
元Podcast:「How to 10x Your Income: 6 Levels of Wealth with Nick Maggiulli」- Bankless Podcast
※本記事は、上記Podcastの内容を日本の読者向けに意訳・再構成したものです。
年収・貯金・資産1000万 獲得ロードマップを作りました

私は2026年4月6日から「Road To 1000」をコンセプトに掲げ、情報を発信しています。
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なぜ「1000万」という数字にこだわっているのか?
それは、私自身が1億稼いで1億失った経験から、「稼ぐだけではダメ」「守って増やす力もセットで必要」だと痛感しているからです。
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